不器用な神野くんの一途な溺愛

「え……」



その時――私の頭の中で、授業中に見た、神野くんと副委員長が思い浮かぶ。


そうだよ……二人は内緒で会ってたんでしょ?


それにキスも……



「っ!」



反射的に、神野くんから身を引いた。


ガガガッ


体を引きすぎて椅子が床に引っかかって、思わず倒れそうになる。

それを見た神野くんが、急いで私に手を伸ばした。


そして――



ガシッ



「せ、セーフ……」



私を椅子ごと抱きとめる。

安堵の息をついた神野くんは、慌てて顔を上げ私の無事を確認した。



「怪我ねーかよ?」

「な、い……」

「そーかよ」



ぶっきらぼうな言葉とは裏腹に、私の頭を優しく撫でる神野くん。

この手に守られたんだと思うと、心臓がキュッと締め付けられる。
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