不器用な神野くんの一途な溺愛
「(……くそ)」



俺の中で、イライラが募る――


何だってんだよ、小野宮。

俺の話を聞こうともしねぇし、ましてや俺の言うことを信じようともしねぇじゃねーか。



「俺の言うことが信じられねーのかよ?」

「だ、だって……」

「……チッ」



だってもクソもねーよ。

俺がお前に言ったこと、

忘れたって言うなら思い出させてやる。


座っている小野宮の両腕を、俺の両手で強く握る。

グッと力を込めると、小野宮は驚いたのか少しだけ揺れた。体も、その大きな目も。
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