不器用な神野くんの一途な溺愛
「小野宮、このまま聞け」
そして外野、お前らもよく聞け。コイツはもう、人形じゃねーんだよ。
こいつはいつか俺が貰う、大事なヤツなんだ。
「……っ」
腕の中の小野宮が、すげー速さで鼓動を打っているのが分かる。そして、それは俺も――
「好きだ小野宮。
俺は、お前のことが好きなんだ」
小野宮が「え」という前に、外野が「キャー!!」と叫んだ。中には泣いてる奴もいる。
そして他の奴らに言って回るために、教室を出たりメールをしたりと、周りは一斉に騒がしくなった。
一方の小野宮はというと、初めて言ったわけでもねーのに懲りずにまた赤面してる。
教室の騒動が気になるのか、涙も引っ込んでるな。いつもウゼーと思ってた外野だけど、たまには役に立つ。
「か、神野くん……っ」
「あ?」
控えめに、小野宮が俺の腕の中で動く。
俺が抱きしめすぎてさすがに息苦しいのか、自ら出てきて「プハッ」と浅い呼吸を繰り返した。