不器用な神野くんの一途な溺愛
「おう小野宮、大丈夫か」

「おう……って……」



小野宮はクラスの奴らを気にする。キョロキョロと見回した後に、いたたまれないのか長い髪で顔を隠した。



「は、恥ずかしい、よ……なんで、こんな、所で……っ」

「お前が俺の言うこと何一つ信じねーからだろーが」

「だ、だからって……!」



バッと勢いよく顔を上げた小野宮。そのデコに、力半分でデコピンをする。



「い、た……っ」

「お前を好きって言ってる俺が、副委員長とキスする訳ねーだろ。みくびんじゃねーよ」

「だ、だって……」

「アレは俺の首にジュースがついたのを、副委員長がティッシュで拭いただけだ。それに、副委員長は他に好きな奴がいんだよ。向こうだって俺の事なんか願い下げだろーよ」



またいらぬ誤解をされる前に、一気に喋る。副委員長のプライベートを暴露しちまったけど、後で謝っとくか。


小野宮を見ると「ごめん」と肩を落としている。良かった、何とか誤解は解けたみてーだな。
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