不器用な神野くんの一途な溺愛
「今、こんなことを言うのは違うのかも知れないけど……」

「?」



涙を拭きながら希春先輩を見る。

希春先輩は、誰もいないのに辺りをキョロキョロして「内緒だよ」と私に耳打ちした。



「実は斗真、挨拶を急に任されたの、すっごい怒ってた」

「!」



そ、そりゃ、そうだよね……。

しかも私、土壇場で辞退したから余計に……。



「でもね」と、希春先輩。



「実は俺も、新入生代表の挨拶をした身でね。斗真をサポートしてあげられるって、すごい嬉しかったんだよ」

「え」

「でも結果すごくウザがられてね。結局、一人きりで原稿完成させちゃったんだよ」



す、すごい……。

さすが斗真くん……やること全てがカッコいいな……本当に王子様みたいな人。
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