不器用な神野くんの一途な溺愛
「斗真はいつも一人なようで、一人じゃないんだよね。いつも皆から頼られて、そしてそれに応えていた。よくいう“ 正義のヒーロー”そのものだよね」

「(コクン)」



よく分かる。

私にとっても神野くんは、正義のヒーローだから。王子様でもあり、正義のヒーローでもあり。

昔から神野くんの通り名は、カッコイイものばかりなんだろうな。



「私も、神野くんは、カッコイイと、思います……」

「うん。弟を褒めてくれてありがとう」



希春先輩が笑う。

そして「でもね」と眉を顰めた。



「兄として情けないけど、斗真が褒められると悔しいんだ。劣等感を覚えてね」

「え……」
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