不器用な神野くんの一途な溺愛
「ニヤけた顔が変だから、ちょっとタンマ!」



顔を伏せた所から、希春先輩の籠った声が聞こえる。だけど篭った声とは裏腹に、とてもスッキリした声色だった。



「喜んで、ますか……?」



オズオズと聞くと、希春先輩はガバッと顔を上げて、両手で口を隠したまま頷いた。

そして、



「ウチの弟、可愛すぎない?」



と、嬉しそうに目を細めた。



無邪気にはしゃぐ先輩が可愛くて、ちょっとだけ面白くて……暫く二人で笑った。

その姿は本当に同級生みたいで……

見方を変えれば、付き合ってる彼氏彼女にも見える気がして。

私は少し、嬉しくなった。


そう。


嬉しくなった…………ハズだった。
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