不器用な神野くんの一途な溺愛
だけど――
「……」
「莉子ちゃん?」
希春先輩が、急に黙った私の顔の前で、手をヒラヒラさせる。
それを目で追うと、希春先輩と視線がぶつかった。
「希春先輩……」
私が、呟く。
すると希春先輩が、優しく、全てお見通しと言わんばかりの笑みで頷いた。
「次は、莉子ちゃんの番だね。
ココに、何が溜まってるのかな」
自分の心臓あたりを指して「ココ」と言った希春先輩。
私も思わず「ココ」を押さえる。
ドクン、ドクン――
私の「ココ」が、まるで「早く出せ」と言わんばかりに唸る。
「聞いて、くれますか?」
「ココ」の鍵は開けた。
あとは開いている扉に、私自身が気づくだけだ――