不器用な神野くんの一途な溺愛
「(本当は、希春先輩を好きな時に、言いたかったな……)」



残念だなと思う気持ちと、神野くんや希春先輩を振り回してしまったっていう、申し訳ない気持ち。

この2つが、私の顔を情けなく歪めた。

すると、私の表情に気づいた希春先輩が「俺が思うにね」と私の顔を覗き込む。



「俺への好意は、優しくされた莉子ちゃんの心が、きっと勘違いしちゃったんだよ」

「好きじゃ、なかったって……こと、ですか?」

「恋愛感情としてはね」



そしてナデナデと私の頭を撫でる希春先輩。

きっと励ましてくれてるんだ――そう思ったけど、私の中で、また違和感が生まれていた。



「(希春先輩の事を好きだった事は、全くのウソだったってこと……?)」



錯覚、間違い、勘違い……。

そんな言葉で、私の気持ちを「なかった」ことにしていいの……?
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