不器用な神野くんの一途な溺愛
「(私は……)」


その時ふと、窓の外を見た。


外では、いつも通り部活が始まっている。

カキーンと野球部がボールを打つ音。

陸上部が互いに励ましあう声。

サッカーボールが力強く蹴られた後の、グラウンドの砂埃。

そして、

そんな皆を温かく見守っているような、夕日のオレンジ色――


そのオレンジが希春先輩と重なって……希春先輩は夕日そのものだなって思った。

いつも温かく私を見守ってくれる。


今もほら、私を撫でてくれる先輩の目は、こんなにも温かい。

そんな先輩を見る、宙ぶらりんの私――



「(私の恋は、いつ始まったんだろう……)」



頭の中で必死に考える。

すると、初めて希春先輩の事を好きだと気づいた、あの日のことを思い出した。
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