不器用な神野くんの一途な溺愛
「恋を知らなかった私に、希春先輩は、初めて、気づかせてくれたんです……。

恋って、こんなにきれいなものだって……あの時、初めて知りました。

恋をするのが、すごく、心地が良くて……私は、希春先輩を、好きになれて……本当に嬉しかったんです」



希春先輩と会えた嬉しさが、幸運さが……今更ながら実感できて、泣いちゃダメだと思っても、どんどん涙が溢れてくる。

希春先輩は、まだ机の上にあったティッシュを一枚とって、私の涙を拭ってくれた。



「(あぁ……やっぱり……)」



私の気持ちは、確かに、あったんだ。

この温かい手に初めて触れられた時に、ちゃんと生まれていた。

その気持ちをなかったことになんて、やっぱりできない――
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