不器用な神野くんの一途な溺愛

さっきの莉子ちゃんの話、斗真と上重さんが一緒にいたのは――俺に告白をした後に教室を飛び出した上重さんと、その上重さんを追いかけた斗真が、二人で授業をさぼってたって事だよね?



「あの時……追いかけてあげられなくてごめんね」

「……なんの話?」



上重さんは、知らぬ存ぜぬを貫き通そうとする。告白はなかったことにしたいって、そう思っているのかな。



「さっき上重さんは自分の事を怖いってそういってたけど、俺から見た上重さんはカッコいいよ。一年の時からずっと、そう思ってた」

「……あなたにカッコいいって言われても何も嬉しくないわ」

「そうだよね……でも」



さっきの莉子ちゃんの顔が目に浮かぶ。必死に俺に想いを伝えてくれた莉子ちゃん。

俺も、もっと自分の気持ちを口にしないとダメだよね。
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