不器用な神野くんの一途な溺愛
「いっその事かっさらっちゃえば良かったんじゃない?小野宮さんは、まだ斗真くんが好きって確信してたわけじゃなかったでしょ?」

「そうだね。でも、明らかに斗真が好きって顔をされていたら、いくら俺と付き合ったとしても、誰も幸せにならないからね」

「そうだけど……」



上重さんは、理解はできるけど納得がいかないようだった。

そんなありのままをさらけ出してくれる彼女に、親近感が湧く。



「上重さんって、結構グイグイいく派なんだね?」

「そうよって言いたいけど、本当にグイグイいく人なら、三年間も好きって気持ちを隠してないと思うわ」

「そりゃそーかも」



二人で笑う。

お互いが、お互いの初めての姿を見たようで、初めて上重さんと話しているかのような――そんな気持ちになった。
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