不器用な神野くんの一途な溺愛
「あーあ、俺ももっと斗真みたいに強引にアタックすればよかったのかなぁ」
外を見ながらぼやいてみる。
だけど心は妙にスッキリしていて、清々しかった。
俺の隣に上重さんがやってくる。
そして同じく外を見ながら、まるで独り言のように呟いた。
「鈍感で、そういう奥手な希春くんの事を好きな女の子が、すぐ近くにいるんだけどなぁ」
「……っ」
不意打ち。
ちょっとドキッとしてしまった。
俺は上重さんを見て笑う。
「お手柔らかに」
すると彼女は今まで見たことのないような柔らかい笑みを、俺に返したのだった。
*神野 希春*end