不器用な神野くんの一途な溺愛
悪だくみ*神野斗真*
*神野斗真*
「はぁ」
家に帰り、疲労からかため息が出る。
結局、今日あれから小野宮と会うことは出来なかった。
そんなに足が速くねぇはずなのに、どこに逃げたんだか。いや、本当に逃げたのか?ちゃんと家に帰れてんのか?
一応、メールで聞くか……。
――小野宮、家に帰ってんのか?
短いメールを打つ。
すると、すぐに返事が来た。
――今お風呂中じゃ
「風呂……。クソ、わざわざ言わなくてもいーだろ」
ちょっと想像しちまった自分に喝を入れる。あのばーちゃん、わざと俺が悶絶しそうなワードを入れてきやがる……。
そう――俺がメールをした相手、それは小野宮本人ではない。
小野宮が熱でぶっ倒れた時に家に送った際、不本意にも仲良くなってしまった、あのばーちゃんだ。