不器用な神野くんの一途な溺愛
俺は小野宮の頭に、ポンと手を置く。

そして「ふざけんな」と憎たらしく笑ってみせた。



「いい思い出って……俺がまるまる被害被ってんじゃねーか」

「あ、気づいちゃった……?」

「気づくも何もバレバレだろーが」

「あはは……」

「でも――」



苦い顔して笑った小野宮。やめろよ、そんな風に笑うんじゃねぇ。

あの時、俺は確かにお前を助けられなかったが、今は違う。



「その時があるから、今があるんだろーな」

「神野くん……?」

「もうお前は一人じゃねーよ。今度から困った時は、俺を頼れ。夜中でも朝でも、いつでも――お前のためなら飛んで助けに行ってやる。あの日助けられなかった分、これからいっぱい、俺を頼れ」

「っ!」



「た、助けられなかったって……」また泣きそうになった小野宮が、俺から顔をそらす。
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