不器用な神野くんの一途な溺愛
「入学式、確かに私は助けられたんだよ。神野くんに」

「いーんだよ。いいから、飽きるほど俺に助けられろ」

「ふふ、なにそれ」



笑った小野宮が、ひどく愛おしい。

触ったら壊れそうなくらい脆いのに、実は芯のある強い女だってことに、あと俺は何回驚かされるんだ。



「小野宮」

「ん?なあに、神野くん」

「好きだ」

「え……な、なに、いきなり」



あの日、話せなかった分まで、これからずっと話すぞ。

あの日、二人で川に入れなかった分、これからたくさん楽しい思い出作るぞ。



「なあ、降りて川に入らねぇ?」

「ここ、遊泳禁止……」



ほら、看板――

小野宮が指さす先に、確かにそれらしき文字が書いてある。

けど違ぇよ。そうじゃねえよ。
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