不器用な神野くんの一途な溺愛
「お前、俺を上げるだけ上げといて、急に落とすのやめろ」

「あ、あげる?おとす……?」



握っている手の話?と、小野宮は繋いでいる手を上下に振る。

そのとんちんかんな姿に、思わず笑いが噴き出た。



「小野宮、お前ほんと可愛いな」

「だ、だから、さっきから何……?今日の神野くん、変だよっ」

「(変で結構だよ)」



心の中で毒づいて、小野宮の手を引っ張って胸の中に納める。スッポリ入るサイズに、意味もなく笑いが出た。



「なあ、キスしてぇ」

「い、嫌……ここ、外……」

「じゃあどこかの中ならいーのかよ」

「ひ、人に見られたくないの……っ」



そう言って、プイとそっぽをむく小野宮。先を歩いて、どうやら俺を置いていくらしい。
< 416 / 425 >

この作品をシェア

pagetop