不器用な神野くんの一途な溺愛

「そっち、俺んちじゃねーよ?」

「え……わ、わか、ってるよ……っ」



顔を真っ赤にして、戻ってくる小野宮。それが意味もなく可愛く見えて、俺はへたり込んで笑ってしまう。そんな俺の前を通る小野宮。ムスッとした顔をして、俺の前を通り過ぎるかと思いきや――



ちゅっ



「……は?」

「仕返し……」



自分の長い髪を使って俺の顔を隠し、その隙にキスをしてきた。

くそ……またやられた……っ。



「おい、そーゆーのを上げてるってゆーんだよ……!」

「……こう?」



やっぱり手を挙げる小野宮。その姿を見た俺は「バカな奴」なんて言いながら、立ち上がって抱きしめた。
< 417 / 425 >

この作品をシェア

pagetop