不器用な神野くんの一途な溺愛
「なあ」
「ん?」
「キスしてぇ」
「……ダメ」
今度ばかりは俺もいうことをきかず、小野宮の口にキスをする。
そんなガキみてぇな俺の背中に、小野宮は優しく手をまわしたのだった――
その後、少しだけ時は流れ――文化祭、当日。
「おーい莉子ー、休憩当番だぞ」
「へ?もうそんな時間……っ?」
白い布を着たままの莉子が、俺の声に反応する。言いたいことは山ほどあるが……
「なあ、お前どれだけくじ運悪いんだよ」
「うぅ……」
クラスの出し物は、お化け屋敷。前、莉子がチクチク裁縫していたのは、白いお化けの衣装作りだ。自分で縫った衣装を、自分が着る羽目になるとは……運の悪い奴。