不器用な神野くんの一途な溺愛
「お化けだけに、よく化けられてんな」

「な、そ、そんな言い方……っ」

「ほめてんだよ。よく似合ってる」

「……あ、ありがとう」



最初は周りの女子から飛んできたブーイングも、瞬くまに拍手に変わった。

どうやら褒め方としては合格らしい。



「じゃ、莉子つれてくわ」

「はーい、一時間、好きに遊んできてね~」

「あ、ありがとうみゆきちゃん、みんなっ」



莉子が手を振ると、クラスの女子はにこやかに振り返す。その光景を見て、つい笑みが漏れる。



あの日、心配していたこと――



二人が付き合っていることを公表したら、どんなことになるか――


それらは一切、杞憂に終わった。

付き合ったと打ち明けようが、クラスの奴らの莉子に対する反応は変わらなかった。

むしろ、莉子をヨシヨシしたり、お菓子をあげたりと……なんだか手厚くもてなされていた。
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