不器用な神野くんの一途な溺愛


「 (ひっ……) 」


会議室で最後に視線を交わした時のような怖い顔ではなかった。

けど、鋭い目つきはそのまま。


でも、負けちゃダメ。

頑張るんだ……っ。


震えてきた手に力を込めて、神野くんを真っ直ぐ見る。

すると、神野くんは少しだけ面食らったものの、すぐに元の顔に戻った。


「お前、まだ帰ってなかったのかよ」

「……う、ん……」


なんとか返事をする。

まただんまりを決め込むと、次は何を言われるか分からないから……。

決して負けまい、と。神野くんから視線を外さず、彼の鋭い瞳を見つめた。


だけど、


「おい、なんだよ」

「……え」

「ずっと見んな。気になるだろ」

「き……」


気になる?

私が見てるだけで気になる? なんで?
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