不器用な神野くんの一途な溺愛


「 (あ、ウザイって……ことなのかな) 」


きっとそう。

このままずっと見てても、それはそれでまた文句を言われそうなので、急いで視線を外す。

その瞬間を見計らってか、神野くんは歩き始め、そして――


ピタッ


私の目の前で、止まった。


「 (な、殴られる……のかな?) 」


言葉の暴力の次は、物理的に――そんな物騒な考えが、頭の中でいっぱいになる。

さすがにそれはないよね?と思いながら、神野くんを見る。

すると、相変わらずの鋭い目と視線がぶつかった。

近くで見ると、迫力のありすぎる眼光。ずっと見られると、体に穴が空きそうだよ……。


「 (本当に殴られるのかも……っ) 」


覚悟をした、その時だった。


「これ。残ってた筆箱」

「……え」

「明日渡そうかと思ってたけど、今いるんなら渡すわ。あと資料も」


ほら――


差し出されたのは、言葉の通り、私の筆箱と、委員会の資料。
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