不器用な神野くんの一途な溺愛
それにこの笑顔……誰かに似てる。

この雰囲気も――誰に似てるんだっけ?


神野くんは日頃トゲトゲしてるから、新鮮すぎる雰囲気に他人の空似を覚えた。

私が笑うこともビックリだけど、神野くんの優しい笑顔も、なかなかビックリなんだよね。


「 (今日は、神野くんにビックリさせられることばかりだなぁ……) 」


なんて思っていた私。

まさか、この先に、

これ以上ない「ビックリ」が待っているとは知りもしないで、神野くんと話を続けた。


「なんだよ、そんなに見て」

「あ……や……」

「……あー、やっぱ似てるか? 俺ら」

「へ……?」


俺ら?


疑問に思っていると、神野くんが急に不機嫌な顔になった。

そして、



「どーせお前も“見た目も性格も正反対だ”とか思ってんだろ」


そんなことを言う。


「どーせ俺は愛想良くねーよ。ニコニコできねーよ。だって今更だろ。どうせ俺は似合わねーんだよ。それに、出来たらとっくにやってるっての」

「??」


もうさっきから訳が分からなくて、神野くんに質問する言葉さえも浮かんでこなくて。なすすべなく、首を傾げる。

すると、今度は神野くんがビックリした顔で私を見て「まさか知らねーの?」と。さっき私に渡してくれた資料を、指さした。


「ここ見ろよ」

「こ、こ……?」

「ん」


トントンと神野くんの指がさした場所。

そこには――
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