大学生をレンタルしてみた
学祭は秋晴れに恵まれた。とは言っても私は基本的に業務室から出ることはなく、準備と片付け以外はオープンキャンパスの準備をしていた。滞りなく進んでいるかをチラチラと確認しながら、学祭実行委員会にある程度任せっきりだ。

たまに委員会の子たちが「ラジカセが一個足りません」などと窓口に来るので、その対応が生じる程度。

壁の向こうから賑やかな声が聞こえてくる。いつも丁寧に対応してくれる委員長の織田くんが、今日は聞いたこともないほどテンションを上げていて驚く。こんな話し方もできるんだ。

12時を過ぎて、お昼くらいはせっかくだから出店から買ってこようかな、と思って席を立つと入り口にその姿を見つけた。

彼は4人くらいでグループになって女の子3人グループを囲っていた。たかが塩焼きそばを売るのに、そこまで必死になるんだ、というほど営業を頑張っている。まるで売れた人がモテるかのように。

売り付けられてる女の子たちも満更じゃないようで、その空間はワッキャワッキャと学祭特有の盛り上がりを見せている。

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