大学生をレンタルしてみた
チラッと晴人がこっちを見た。私は思わず顔をパソコンに向けて気付かないフリをする。立ちっぱなしのまま目の前のパソコンに何の意味もない文字列を打ち込んでいると、ウィンと自動ドアが開く音がした。
「今日も仕事なんですね」
彼は躊躇いもなく近付いてくるから、私はやっとパソコンから顔を上げ彼の方を見る。首から「塩!やきそば」と綺麗ではない字が描かれた箱を吊り下げ、蛍光ピンクのTシャツを着ている。
「楽しそうだね」
「全然売れないんですよねー」
彼は意味ありげに私の方を見る。
「なに」
「昼もう食べたんですか」
「まだだけど」
私はそっと財布を隠した。彼はゴソゴソと発泡スチロールの箱から恐らくやきそばを取り出そうとしている。
「私、せっかくだから出店見たいんだよね」
彼は「えー」と分かりやすく落ち込んで手を止めた。
「何買いに行くんですか」
「決めてない」
「焼きそばでいいじゃないですか」
隣を歩いてくる彼を払いながら、私は外に出る。彼を待ってたグループの視線が私に集中したけど、気持ちが悪いので無視した。
「売れなかった」と報告する晴人の声と、「職員は無理だって」という笑い声が耳に届く。
ああ、大学生って若くて何も考えてなくて苦手だ。
「今日も仕事なんですね」
彼は躊躇いもなく近付いてくるから、私はやっとパソコンから顔を上げ彼の方を見る。首から「塩!やきそば」と綺麗ではない字が描かれた箱を吊り下げ、蛍光ピンクのTシャツを着ている。
「楽しそうだね」
「全然売れないんですよねー」
彼は意味ありげに私の方を見る。
「なに」
「昼もう食べたんですか」
「まだだけど」
私はそっと財布を隠した。彼はゴソゴソと発泡スチロールの箱から恐らくやきそばを取り出そうとしている。
「私、せっかくだから出店見たいんだよね」
彼は「えー」と分かりやすく落ち込んで手を止めた。
「何買いに行くんですか」
「決めてない」
「焼きそばでいいじゃないですか」
隣を歩いてくる彼を払いながら、私は外に出る。彼を待ってたグループの視線が私に集中したけど、気持ちが悪いので無視した。
「売れなかった」と報告する晴人の声と、「職員は無理だって」という笑い声が耳に届く。
ああ、大学生って若くて何も考えてなくて苦手だ。