大学生をレンタルしてみた
意外と2人でやると30分程度でほとんど片付けが終わった。
晴人は荷物を取りにサークルの場所へと一度戻ったけど、その後8号館の窓口に来た。蛍光ピンクのTシャツから黒のロンTへと着替えて。
外に出ると風に乗って金木犀の香りがする。
「今の季節、歩きやすいよね」
胸いっぱいに香りを吸い込むと思わず独り言のように言ってしまった。言ってから恥ずかしくなる。
「木下さんって、木って字がたくさん入ってますよね」
隣で晴人が「木」という文字を宙に描きながら言う。
「だから、木を見ると木下さん思い出します」
「ありがとう」
「椎果って木の種類だったんですね」
「椎の木ね」
「知らなかったです、椎って木があること」
キャンパス内にはまだ帰らない学生もいて私はちょっと顔を伏せる。それに気付いたのか晴人があたりを見回した。
「木下さんが職員ってみんな分からないですよ」
そうは言うけど、万が一職員と学生と一緒に帰ってるところなんて見られたら良いわけがない。
晴人は荷物を取りにサークルの場所へと一度戻ったけど、その後8号館の窓口に来た。蛍光ピンクのTシャツから黒のロンTへと着替えて。
外に出ると風に乗って金木犀の香りがする。
「今の季節、歩きやすいよね」
胸いっぱいに香りを吸い込むと思わず独り言のように言ってしまった。言ってから恥ずかしくなる。
「木下さんって、木って字がたくさん入ってますよね」
隣で晴人が「木」という文字を宙に描きながら言う。
「だから、木を見ると木下さん思い出します」
「ありがとう」
「椎果って木の種類だったんですね」
「椎の木ね」
「知らなかったです、椎って木があること」
キャンパス内にはまだ帰らない学生もいて私はちょっと顔を伏せる。それに気付いたのか晴人があたりを見回した。
「木下さんが職員ってみんな分からないですよ」
そうは言うけど、万が一職員と学生と一緒に帰ってるところなんて見られたら良いわけがない。