大学生をレンタルしてみた
本当に本当に、この仕事辞めようかな。

パソコンの文字からピントが外れる。
今この仕事を辞めたとして、私に何ができるだろう。このまま独身を貫いて、自分で自分を養っていくにはどうしたらいいんだろう。

環境が変われば楽しく働けるんだろうか。
誰かが入ってくれば、育休から戻ってくれば、仕事に慣れてくれれば、私は楽になるんだろうか。

まだまだ中途半端だけどやる気が切れてしまったので今日の業務に見切りをつける。足首を回すと肉と肉とが押し合った。

机の鍵を閉め、鍵を戻す。
すっかり誰もいない8号館から真っ暗な外に出ると、まだ部活で残っているのかわずかながら人の気配を感じる。

キャンパス前のバス停まで電灯が灯す薄暗い道を歩く。これほどまでにガランとしているとキャンパス内と言えども怖い。

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