大学生をレンタルしてみた
最寄りのバス停から私の家までは徒歩2分。駅前で買ったご飯を持って二人で向かう。街の中心部に近いだけあって車の通りは結構ある。

記憶にないけど、一度晴人も来たことのある家。

階段をカンカンと音を立てて登り、2階の廊下を進むと私の部屋になる。ドアノブがひんやりと冷えていてすっかり寒い季節になったのだと感じる。

ドアを開けるとしんとした部屋が待っている。カーテンも閉ざされ、真っ暗な部屋。連日この寂しい部屋に一人で帰ってきていた。

「おじゃまします」

私の後ろから晴人が言い、狭い玄関に身を入れてきた。ドアが閉まる。今日はこの部屋に二人だ。

私が振り返ると、わざと距離を縮め胴体を当ててきた。

「今日何してほしいですか」
「一緒にご飯食べてほしい」

私の答えに、スッと目から表情が消えた。

「分かりました」

彼はそう言うとスニーカーを脱いで私の後に続いて部屋に上がる。

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