大学生をレンタルしてみた
ベッドの上に場所を変え、私は晴人の腕の中に入った。晴人が背後から私の体に触れ、体のいたるところにキスをする。

「怖い？」
「大丈夫」

彼は最大限の優しさで、大切なものを扱うように私に触れる。それがすごく居心地良くて私を幸せにした。

彼は時間をかけて私を愛してくれた。何度も頭を撫でてキスをしてくれた。

最初固まっていた体が柔らかくほぐされていく。彼の体を受け入れて、ゆっくりと溶け合って一つになっていく。青い絵の具と赤い絵の具とがマーブル模様を描きながら少しずつ少しずつ紫になっていくようだった。

こんなに私を大切に扱ってくれる人に出逢えて良かったと思った。

初めての夜に彼はいろいろと教えてくれた。
実家に住んだままで部屋から川が見えること、いつもいる男友達はユウキとタクシとレンだということ、中学校からずっと一貫で進学してきてるから女友達も多いこと、就活は業界絞らず営業で考えていること。

友達には私のこと好きだと教えてること、ユウキからヒモだとバカにされたこと。

「ちゃんと就職するからね」と私の髪を撫でて笑った。続けて「椎果ちゃん」と。

いつのまにか敬語が抜けていて、一人の男の人になっていた。

もしかしたらこの人は就職しないかもしれない。全て嘘かもしれない。告白する気もないかもしれない。

それでも今の私にとってこの存在は特別だと思った。
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