大学生をレンタルしてみた
私は嬉しさもあったけど作り笑顔を向ける。

「ありがとう」

複雑な顔をした晴人を見て、少しでも私を安心させたかったんだなと分かった。私は結婚に焦ってる中、21歳の学生と恋に落ちてしまった。その心を少しでも汲んでくれた発言だと思う。

「でも今は結婚とか考えなくてもいいのかなと思ってる」

期待しないように、この恋が短く終わっても痛くないように、私は自分を守るしかない。

突然パッと窓の向こうでイルミネーションが点灯した。一斉に街路樹がゴールドに輝く。

そうだ、今日はこれを楽しみに来たんだ。

窓の向こうの景色に目を奪われる晴人の横顔は、私の好きなラインを描いている。いつだって好きだ。

その肌をLEDの電球が照らす。

「俺のこと子どもだと思ってるかもしれないし、正直まだまだ子どもだけど、でも他の男の人よりちゃんと椎果ちゃんのこと大切にするよ。今の俺にはそれしか言えないけど」

彼は少し寂しげに笑う。やるせなさが入り混じる。

「ありがとう、嬉しいよ。私は本当に今のこのままでいいんだよ」

私はシャンパンを一口含んだ。酸味が香りと共に口いっぱいに広がる。


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