嘘つき運命ごっこ
「彼が海外に行って、戻ってきたら結婚しようって約束だったんだけど、……待っていても帰ってこなくて。結局、現地で亡くなったって聞かされたの」

「え……、それって、遺体とかは……」


聞いてもいいのか迷いながら恐る恐る問うと、おばあちゃんはゆっくりと首を振った。


「そ、そうなんだ……」


気まずくて次の言葉を言えずにいると、先に口を開いたのはおばあちゃん。


「そんな時に出会ったのが、おじいちゃんなのよ」


目を見開いて見る私に、おばあちゃんは優しく見守るように微笑んだ。
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