嘘つき運命ごっこ
おばあちゃんの声に、緊張が走る。

当時のことを、昨日のことのように思い出しているのだろうか。

その姿は、恋をしている少女のようで、可愛く見えた。


「ずっと待ち続けて、夜中になって。そしたらね、突然現れたのよ。頭に包帯を巻いて」

「え!?怪我してるじゃん!」

「そうなの。うちに向かう途中に、事故にあったんですって。病院から抜け出してきたって言うのよ」

「うわ……」


若いって怖い。

結構本気で心配になるほどの情熱に、失礼ながらちょっと引いてしまう。
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