嘘つき運命ごっこ


「おばあちゃん、また来るね」

「ええ、待ってるわ。芙結ちゃん、元気で」


翌日。

夕方になり、パパと一緒に家に帰ることになった。

初七日や、四十九日など、まだまだ故人のためにすることはあるけれど、ひとまずはこれでひと段落ついたことになる。


「芙結、昨日の夜、ばあちゃんと何話してたんだ?」


帰りのタクシーの中で、パパが不意に問いかける。


「パパ、見てたの?声かけてくれればよかったのに」

「風呂上がりにたまたまな。女同士でいるところ、邪魔しちゃ悪いかと思って」


女同士……。

うん、確かに、あれはガールズトークだった。

おばあちゃん、可愛かったな。


「ひみつだよ。おばあちゃんの、恋の話だもん」


私が見えている赤い糸は、本物なんだ。

亡くなっても、空に舞い上がっていくなんて。
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