嘘つき運命ごっこ
家に着き、重い荷物を抱えて玄関まで向かう。

なんで私、音楽プレイヤーとか持って行っちゃったんだろう。

机の上に乗せていたお菓子とか、学校で使っているペンポーチも入っていたし。

動揺していたからって、いらないものをかばんに詰めこみすぎたみたい。


パパが家の鍵を探していると、タクシーの止まる音で気づいてくれたのか、直子さんが玄関を開けてくれた。


「おかえりなさい、栄一さん、芙結ちゃん。お疲れ様」


扉の先に暖かな明かりが見えて、ホッとする。


「ごめんな、旅行途中になって」

「旅行なんて、これからいくらでも行けるじゃない」


パパが先に入って、直子さんに声をかける。

私は両腕で荷物を抱えていたから、パパが入ったあとに扉が閉まりそうになって、


「あっ……」


と、声を漏らしたその瞬間。

内側から手が伸びてきて、また玄関の扉が開いた。
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