嘘つき運命ごっこ


「は!?見つかったの!?例の運命!」

「うん」

「何それ、俺聞いてないし!」

「だって、昨日瑞貴と別れたあとに出会ったんだもん」


翌日、登校したばかりの教室で、のんびり自分の席に着席している私のそばで、瑞貴が大げさに騒ぐ。


クラスも同じ瑞貴が、朝からずっとワンコのように私にくっついているのは毎日のことなので、今さら教室の面々もそれを気にする様子もない。


「誰!どこのどいつ!?」


焦って早口、その上大声の瑞貴に、冷静に返す。


「お兄ちゃん。昨日、新しく出来た」

「は……、はーーーーー!?」


学校中に響き渡るほどの大きな雄叫びを聞きながら、私は前日のことを思い出していた。
< 11 / 261 >

この作品をシェア

pagetop