嘘つき運命ごっこ
「ご、ごめんなさい、わたし……っ」

「いいよ。今なら、誰も見てないから」


その言葉通り、学さんはわざと目をそらしてくれている。


「あんた、父親の前だと無理していい子っぽくしてるみたいだから。今回も、また頑張って明るくしてるのかと思って」


どうして分かってしまうんだろう。

おじいちゃんの死は、一緒にいた時間が一番少ない私なんかよりも、おばあちゃんやパパの方がずっとずっと辛いだろうって、ふたりを励ましながら、無理に気丈にふるまっていたこと。


でも本当は、思いっきり泣きたかったことを。


どうして、学さんだけが。
< 111 / 261 >

この作品をシェア

pagetop