嘘つき運命ごっこ


「初めまして、息子の学です。今日からお世話になります」

「みっ、見つけた!」

「……は?」


学さんはもちろん、パパと直子さんまでもが、こちらに不審な目を向ける。


それでも、運命を確信して興奮してしまった私は、止められなかった。

学さんの手を取り、ギュッと両手で握る。


驚いた表情が、私をまっすぐ見た。


「新しいお兄ちゃんが、運命の人なの!?やっと見つけました、あなたは私の赤い糸の相手です!」


元々無表情だった綺麗な顔は、驚きのあとに嫌悪に歪む。

そして、


「は?バカ?頭おかしんじゃねーの、運命なんかねーよ」

「こ、こら、学!」


直子さんが慌ててフォローをするけれど、一瞬で終わりを告げられ、ショックを受けた頭には届かない。


これは、赤い糸のはずなのに。

繋がっていれば、離れることはない、運命の……。
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