嘘つき運命ごっこ
先輩たちが諦めて帰ったのを見て、私たちはホッと胸をなで下ろした。

いつものことだとは言え、毎日これじゃ、男嫌いのリサじゃなくても嫌になってしまうかも。


「かわい子ぶってて、うっざ」

「か弱いとモテるもんね。うらやましい~。芙結かわいそう、完全に引き立て役で」


聞こえるように、わざとだろうか。
クラスの女子が、明らかにリサを見て噂をし始めた。

「引き立て役」の言葉が、グサッと刺さる。

肩をビクッと強ばらせたリサは、私からそっと離れた。


「ごめんね、芙結ちゃんまで言われて……」

「ううん、私が好きでリサといるんだから、気にしないで」


目をうるうるさせているリサの後ろで、瑞貴が嬉しそうに笑った。


「俺、芙結のそういうところも大好き」


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