嘘つき運命ごっこ


「週末ね、私、幸せだったんだ」


週明け、月曜日。

いつものように朝から私を迎えに来た瑞貴にそう呟くと、
キョトンとした表情のあとに、笑顔が返ってきた。


「そっか、芙結が幸せなら良かった」


事情なんて何も知らないはずなのに、喜んでくれる瑞貴に、ますます嬉しくなる。


「うん。土曜日は学さんとご飯食べに行って、日曜日は四人で過ごしたの。すごく、家族っぽかった」


空を見上げる。

雲ひとつない、とても綺麗な青空。


「ママが家を出てから、そんなの無理だと思ってたの。期待もしてなかった。だって、私はパパとママ以外はいらなかったから」


青空に手を伸ばす。

赤い糸が、キラキラと透けている。


「でも、“家族”って、幸せなんだね」
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