嘘つき運命ごっこ
「おはよ、リサ。今日、朝から先生の手伝いだったよね。早く行こう」

「ふ、芙結ちゃん……。うん」


私の顔を見て安心したのか、一瞬でこぼれそうなほどに瞳を潤ませたリサは、手の甲でまぶたをこすって立ち上がった。


「おい、ちょっと」


リサの腕をつかもうとする手を、直前で阻止したのは、少しだけ遅れてきた瑞貴。


「すみません、先輩。山ほど荷物あるから、俺たちみんなで行かないと大変なんです」


瑞貴が嘘八百を並べている隙に、私はリサの手を引いて教室を出た。
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