嘘つき運命ごっこ
「ううん、そんなことないよ。瑞貴くんは、絶対にずっと芙結ちゃんが好きだよ。見ていれば、分かるでしょ?」

「……」


気持ちなんて、目には見えない。

私が見えるのは、運命を繋ぐ赤い糸だけ。


リサに答えられず、黙り込んでしまうと、購買に行っていた瑞貴が戻ってきた。


「今日、めっちゃ混んでたよ~。ピタパン売り切れだった、残念。何の話してたの?」


焼きそばパンと牛乳パンを手にした瑞貴は、近くの椅子を私たちの席に寄せた。


「んー、ガールズトークだから、瑞貴くんには秘密。ね、芙結ちゃん」

「うん……」


相づちを求めて微笑む顔に、私は愛想笑いしか返せなかった。
< 180 / 261 >

この作品をシェア

pagetop