嘘つき運命ごっこ
おばあちゃんは思い出したように笑って、見えていないはずの赤い糸を見つめた。


「芙結ちゃんには、話したことがあったわね。昔、結婚の約束をしていた彼がいたことを」

「うん……」


それは、おじいちゃんの葬儀の日のこと。

海外から帰ったら一緒になろうと約束した人が亡くなり、彼を忘れられず、おじいちゃんの告白を何度も断った末の結婚だったと、話してくれた。

だけど、おばあちゃんとおじいちゃんの赤い糸は繋がっている。

だから、おばあちゃんの決断は少しも間違っていなかったと、より一層確信したのに……。
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