嘘つき運命ごっこ
おばあちゃんは、キョロキョロと辺りに目配せをして、誰もいないのを確認してから、やっと口を開いた。


「実はね、さっきの天童さんが、昔のおばあちゃんの恋人なのよ」


おばあちゃんの言葉が理解出来ず、私は目を見開くばかり。


「……え?だって、おばあちゃんの恋人って、海外で亡くなったって……」

「そうよ。現地で亡くなったことにされて、遺体も見つからなかったはずなのに、生きていたの」


私は、天童さんが去っていったであろうふすまを、反射的に振り返る。

さっきの人が、おばあちゃんの約束の人……!?
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