嘘つき運命ごっこ
また同じ電車に乗り、駅からフラフラと帰る途中、妙に軽い右手に気づいて、学校にかばんを丸ごと置いてきたことを思い出した。


そうだった。
戻らなきゃいけないんだ。


学校に行ったら、また若菜と会っちゃうかな。

今は、見たくない。

ほどけた赤い糸……なんて。


ため息をついて、制服のポケットに手を当てると、ゴツンと硬い感触に当たった。

あ、スマホだけは持ってる。

そういえば、何回か鳴る音を聞いたような……。


ポケットからスマホを出すと、メッセージの通知が何件か入っていた。

ひとつは、リサから。

『芙結ちゃん帰っちゃったの?』


……あ。

かばん持ってくるから待っててって言ってくれたのに、無視する形で学校を出たんだった。
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