嘘つき運命ごっこ
ハアハアと息切れをする瑞貴の手には、ふたり分のかばん。


「もー!何回ラインしても既読になんないし、電話も出ないし!心配した!」

「あ、ごめん……。ちょっとボーッとしてて、気づかなくて」

「探した!見つかった!よかった!」


単語だらけの言葉を大声で叫んで、瑞貴はその場にへたり込んだ。

その光景に驚いて、慌てて駆け寄る。


「えっ、大丈夫!?」

「大丈夫じゃないよ。梨沙子ちゃんに、芙結が真っ青になっていきなり帰ったとか聞かされてさー!寿命が縮んだっていうか、何回か死んだ!」


瑞貴が持っているのは、自分のものの他に、私のかばんまで。
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