嘘つき運命ごっこ
「えっ、ちょ……っ、瑞貴……っ!?」

「ごめん、少しだけ」

「っ……!」


背中に回る腕の力が強くなって、苦しくて息が喉元で詰まる。


ドキドキと騒がしい心臓は、……どちらのもの?


どれくらいの時間が経っただろう。

ふたりでしばらくそうしていたら、不意に車のクラクションが鳴り響いて、お互いビクッと反応して、自然と体が離れた。


クラクションが向けられた先は私たちではなかったようで、見つめあって黙り込んでしまった。

< 205 / 261 >

この作品をシェア

pagetop