嘘つき運命ごっこ
むうっと頬が膨らんだのが、鏡の中で反転して写る。

……ますますブスに見えるな。やめよ。

ちょんちょんと指で前髪をさわっていると、玄関からチャイムが鳴り響いた。


「おはようございまーす!」


瑞貴だ……!


ソファーからぴょんと飛び下りて、かばんを手にする。

瑞貴にこの顔見られるのも、嫌だな。


そう思いつつ、玄関へ急ぐ。

扉を開けると、いつも通りの笑顔があった。


「おはよう、芙結」
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