嘘つき運命ごっこ
昨日のこともあって、目を合わせるのが気まずい。

今日はいつも以上にブスだし、尚更。


「お、おはよう」


前髪をさわるフリをして、サッと顔を隠しながら、あいさつを返す。

瑞貴が「ん?」と、小さく首を傾けたのが見えたけど、何事もなかったように、ふたりで学校に向かうことにした。


「……」

「……」


道中は、昨日の帰り道同様、無言。

たまに、瑞貴が隣をチラッと見るのを感じたけど、顔を見られたくないから、そのたびに手のひらで隠した。

絶対に不自然だよね……。

何かあることは気づかれていそうだけど、見られたくない。
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