嘘つき運命ごっこ
「梨沙子が瑞貴くんを好きになったら、芙結ちゃんは諦められるの?」


リサと繋がっている赤い糸は、今でもこの目にくっきりと見えている。

私の右手にも、学さんとの赤い糸が。


この気持ちは、きっと間違っている。

私が一番に分かっている。

でも……。


「……諦めたくない。この先、瑞貴がリサを……他の誰かを好きになっても、私は」


ちゃんと聞こえたかは、分からない。

声がかすれて、発音もままならなかったから。


だけど、リサは満足そうに笑って、赤い糸を見せないように右手を背中に隠した。
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